人工加工乾性油

原料

生油より

 

目的

  • 油の乾燥促進
  • 油の濃縮作用
  • 油の本来持っている特性を弱めたり、欠点を補う為のもの

 

処理方法

  • 直火で加熱する方法
  • 熱湯中で加熱する方法
  • 太陽の光によって脱色、濃縮させる方法
  • 空気の流通を絶って加熱する方法
  • 乾燥剤を添加処理する方法

oil-boiled

加熱処理した油の特性

  • 極めて強い粘着性を持つ
  • エマイユのごとき光沢を持つ油
  • 乾燥が早い

 

太陽に晒した油

sun-breachedoil
太陽に晒した油の特性

  • 綺麗に澄んだ透明性を持った油
  • 乾燥は早い
  • 生油と比べて光沢を持ち、耐久性に富む

 

 

重合した油の特性

  • 沃素が低下しているために乾きは遅くなる
  • 貴化、亀裂、分解を起こしにくい油
  • 乾燥皮膜は柔軟で滑らかな耐久性を持ち堅牢な油となる
  • 粘着性を持った油
  • 樹脂とのなじみが良くなる
  • 乳剤(エマルジョン)のメデュームとして適している(乾性油と生油で割る)

 

加熱して乾燥剤を加えた油の特性(Boiled Oil, Drying Oil)

  • 生油に比べ乾燥は著しく早い
  • 光沢を持った油
  • 表面皮膜が早く出来やすい
  • 亀裂・ちりめんじわを作りやすい

原液を多量に用いない(薄めて使うのが好ましい)

 

油と揮発油の混合の度合い

下層(描き初め)・・・油1:揮発油3

中層・・・・・・・・・油1:揮発油1

上層・・・・・・・・・油3:揮発油1

 

 

揮発製油(Essential Oil Sprits)

分類

  • 植物性・・・通常は針葉樹のような樹脂分のある植物を蒸留して採取した物。多少の樹脂分を含む
  • 鉱物性・・・石油から採れる。粘着性は無く画面上に跡を残さない。完全に揮発する

 

画用としての目的

  • 絵の具に流動性を与える
  • 絵の具の伸び、筆裁きを調節するため
  • 油、樹脂油の希釈剤
  • 樹脂の溶剤
  • 彩色用法上の補助剤(保存修復のため)

 

注意点

  • 揮発性油自体は何ら体質を持ち得ていない
  • 描画用に多量に用いた場合絵の具の固着力を弱める。また、艶を無くしチョーキングを起こしやすくなる。脱脂状態になり剥落を起こしやすい。