天然鉱物
赤色硫化水銀 HgS
鉱石の辰砂(しんしゃ)として産する。顔料としては辰砂を粉砕し水ひに得る。人工的に作られたバーミリオンと天然辰砂とは化学的、物理的に何ら変わらない。現在はほとんど人工の物が使われている。
硫化物系
硫化水銀 HgS
中国人が朱を人工的に最初に作り出したと言われている。製法には乾式法と湿式法がある。
水銀と硫黄の元素を化合させて作る色相は、三種類あり、触媒の製法の違いによち色味を出す。
1.フレンチヴァーミリオン(French Vermiiion,Vermilion Francias)・・・黄口、加里(苛性ソーダ)
2.ヴァーミリオン(Vermilion)・・・橙赤色
3.チャイニーズヴァーミリオン(Chinese Vermilion,Vermilion Chine)・・・赤口、ナトリウム(強アルカリ)を触媒
最も重い顔料。被覆力、体質性が強い。耐久性のある顔料。耐酸・アルカリで、光りに弱い。
余分な硫黄分が完全に除去されても、時と共に水銀と硫黄が分離して、表面が黒ずむことがある。(遊離硫黄)
シルバーホワイト・クローム系(鉛系)・酸化鉄系・銅化合物系・プルシャンブルーなどとの混色には、変色の危険がある。
不透明色、乾燥性は遅い。毒性を持つため、防腐・防虫作用がある。
混色・変色(用法上の注意)に留意すれば、大変堅牢な耐久性のある色。グラウンド・下層にも使用できる絵の具である。
乾燥後は、粉っぽくなりやすい。(樹脂の添加)