油絵具の組成と特性

  • 油絵具は油性(+樹脂)の媒材を主とする
  • 顔料の種類により、透明・不透明性をもつ。これは顔料により油の吸収量に差があり着色力、被膜力に差があるためである。土系の色は吸収量が大きい。
  • 発色効果は油(樹脂)との関係で濡れ色を呈する。透明深度(透過深度)
  • 媒剤との捏練(こうれん)により粘調な体質感を持っている
  • 乾燥度合いの差がある
  • 油絵具の色相基準は特に産業革命(英国)を期(17世紀末〜19世紀にかけて)に定められる
  • 1824年油絵の具の保存のために金属チューブが発明される

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絵の具の組成

  • 乾性油を主体として、補助剤によって合成された媒材と顔料をコウ練して作られている
  • チューブからしぼり出した粘稠(ねんちゅう)な体質観は各顔料をメデュームとして均一に近づけてある

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顔料(Pigment)

  • 水溶剤または油脂にも溶けない白色、有色の粉末。仲介物よってのみ展色することができ、基底材の表面を被覆し色を与え、定着する。
  • 展色剤(水溶性または油溶性)の中で粉体(粒子)が分散し浮遊した形になっている。

染料(Dyestuff)

  • 水に溶け繊維にしみこんで着色することができる有機化合物。
  • 着色物として溶液で用いる色素である。絵具にするにはほとんどが不活性物質(体質顔料)に沈殿、含浸させた形にして用いられている。
  • 多くは錯有機化合物で天然からとれる動植物があるが、現在絵の具としてほとんどが人工合成で作られている。
  • メーカーによってはまだ天然のものがある。

無機顔料(Inorganic Pigment)

  • 発色主成分が無機物質からなる顔料。
  • 有機顔料に比べ、一般に安定、不変色である。また、耐候性、耐熱性に優れ、隠蔽力が大で堅牢なものが多い。
  • 金属、鉱物、天然土。

体質顔料(Body Pigment)

  • 油と混ぜると、屈折率が0に近いため透明となる。
  • 絵の具の体質や、増量材に使われる。また、透明性を増やすため、添加剤としても使われている。(特に、レーキ系顔料などの体質材として用いられる)
  • 水とは屈折率に差があるため、水性塗料の顔料として他の顔料と同じように使うことが出来る。(特に下地作りの塗材として用いられる)
  • 無機顔料の中で、着色力、隠蔽力の小さいもの。

染付絵具(tinted,tinta)

  • 顔料、媒剤に染料を添加してあるもの。
  • 体質顔料にチント(染付)したもの。
  • 高価な絵具に色味を似せて作られた代用品として、また、顔料の色相そのものが鈍いものに染料、新顔料を添加して見かけの色相を作ってある。
  • 本来の絵具の重さも似せるため無機質顔料も添加して作られている。(本来のものと同じ原料の粗製品で作った絵具ではない)
  • 各メーカーの色名の前後にチント、トーン、ネオ、ノーバ、シェード、シミリ、イミットetc.これらの名前が付いている。(メーカーによってはこの種の絵具の表示が省略されているものもある)

特性

  • 今日では相当堅牢なものになっている。
  • 油絵具としての体質感に少々劣る感がする。
  • 厚塗りの場合、本物との色味のニュアンスはほとんどわかりにくいが、溶き油などで薄めたとき、また、薄塗りしたときは、こくが劣る感がする。
  • 著しい強い色調のものは、技法的、使用法を誤ると他の色を喰ったり、退色、変色を来すため注意。

 

 

新顔料、人工有機顔料(Organic Pigment)

  • 有機合成または、石油化学によって作られた微粒子顔料。
  • 無機顔料に比べ、一般に着色力が大きく、透明性が強く、色相の鮮明なものが多い。一般的に耐光性、耐薬品性に弱く、退色性がある。
  • 被蔽力が弱く、油との関係は乾燥性が遅いものが多い。レーキ系。各メーカーにより色名にメーカーの名、地名、研究者名などをつけた名で呼ばれている。